歯髄バンクについて
自分が歯科医なりたての頃歯髄バンクなるものが新規事業として立ち上がってきました。これは抜歯した乳歯の歯髄を使用して将来的に歯を再生させるという触れ込みのベンチャー企業的な事業でした。そのために登録料金を取り歯を冷凍保存しますという事業。
もちろんこれが実現すれば素晴らしいことだし、いわゆる再生医療の幕開けという印象を持ちました。
もし実現したら歯科医の仕事は移植を行うような仕事がメインになるかもなどと考えていました。
しかし当初よりそんなことは可能なのだろうか?試験管で完全に歯牙を再生することはできるのか?そのサイズのコントロールや感染についてはどのように管理するのか?などなど、、、
大きな疑問として
①そもそも抜歯されるような乳歯の歯髄はほぼ失活しており、どの程度歯髄が取れるのか?
②グラグラの乳歯の採取は唾液に晒され、明らかに細菌感染している。
これを保存したところでコンタミネーションするのではないか?
等と考えてました。
それから月日が流れ15年近くたちます。
IPS細胞という素晴らしい発見がありましたがそもそも歯牙の再生についてはちっとも成果はありません。
登録料を払っている方はいつまで待つのでしょう。
この事業は臨床をやっている歯科医からすれば課題が多すぎて非現実的なものだと考えます。相当の基礎研究が必要でしょうね。
自分には「ゴミを保存しているだけ」にしか思えません。
ですので当院は歯髄バンクについては一切行いません